図書室 Library


湖上の家、土中の家
益子義弘+東京芸術大学益子研究室(OM出版/農文協) 2006/10/ 25 2,800円

ペルー・チチカカ湖の葦草の浮島と家、イラン・砂漠の土の家、スペイン・アンダルシアの洞窟住居……、自然環境の違いの中で人はずっと住み続けてきた。その居住空間を実測し、住まい環境を計測した報告書です。

情報に乗って一律の価値観や均質なシステムが世界を覆いかねない危うさが増すなかで、個々の土地や風土に根ざすさまざまな文化の多様性を想像することの大事さ、連綿と続く人の営みの力の大きさを感じます。

葦草の浮島は水に接している部分は3ヵ月で朽ちるそうで、葦草の地面を造りながら住み続ける暮らしを想像もしませんでした。(ま-080502)


小さな建築
富田玲子著(みすず書房) 2007/12/10 2310円

建築家・富田玲子が、自分が育った家や環境、出会った師、仲間、使う人たちを通して何を考え、どんなふうに建築設計をしてきたのか、建築や街、使う人たちに寄せる想いをやわらかく語っています。

「建築専門外の人たちにも、街のこと、建築のこと、住まいのことを、食べることやお洒落をすることと同じような感覚で考えてもらいたいと願って出版したものです。」(あとがきから)

日常的に近所の人がお茶をのんだりおいしいものを食べながら、何か話しているうちにいいアイデアややりたい事がカタチになると思っています。そんな街づくりをしたくて、カフェを始めましたが、5年たちようやく地域に馴染んできたかなというところです。誰もが街や建築や住まいについて、お茶を飲みながら話題にしたり議論を深めていけば、今よりも住みやすい街になるはずです。(ま-080404)


季刊住む。14号
(社団法人農山漁村文化協会) 2005/8/1 1200円

このところお気に入りの雑誌は、アルネ、クウネル、住む、などなどです。
近ごろ、こんな雑誌を読むことがささやかな楽しみになっています。
先日、クウネルを読んでいたら吉本ばななさんが、これらの雑誌の中にこそ、明日があるなんてなことを書いておられるのを読んで、味方を得たようで嬉しかったです。
今回ご紹介する「住む。14号」は「この町に暮らす」が特集です。
京都の町屋に住む森田さんご夫妻の町と共にある暮らしぶりが紹介されています。
京都の下町とは似ても似つかない多摩ニュータウンに暮らして20年余、この町と共にある暮らしがありそうとの予感をようやくつかみかけていた時期に、勇気づけられる1冊でした。(ひ-050714)


岩波講座 都市の再生を考える 第1巻 都市とは何か
間宮陽介、布野修司、中谷礼仁、吉見俊哉、齋藤純一、岡部明子、大西隆、吉田純著 (岩波書店)2005/3/25

もう一度きちんと「都市」のことを勉強しなければと思っていた時でしたので、岩波らしい時期を得た企画だと思っています。
都市とは何か、たくさんの考えが紹介されていました。それでもやはり、一番ぴったり来るのは、昔からおもしおろい人だと思っていたクリストファー・アレキサンダーの言葉です。
「都市の質は計量化したり、明文化したりできない名付けえぬ質であり、alive(活気がある),whole(まとまっている), comfortable(ほっとする),free(のびのびとした),exact(ぴしっとしている),egoless(これ見みよがしでない), eternal(永続性がある)と言った感覚的な形容詞でしか表現できないものである。」
基本的にのどかなアレキサンダーなのですが、exact,egolessなんて言葉が混じると急にきりりと引き締まって、また一つ株が上がったところです。
ところでアレキサンダーという人、アメリカの建築家ですが、昔その建築理論にそってリンツ・カフェというカフェをみんなで作ったのですが、カフェ・ドゥードゥーは日本にもリンツ・カフェをつくるぞぉ!と言う思いで生まれたのでした。(ひ-050628)


自然保護を問い直す-環境倫理とネットワーク
鬼頭秀一著 ちくま新書(筑摩書房) 1996/5/20 740円
一本の木を切る、切らない。たった一本の木ながら、そのまわりには気の遠くなるようなたくさんの考え方があります。
そこを突破する数少ない糸口として、環境倫理という学問が頼みになりそうだと思いつつ、一冊も読むことができないまま、ずいぶんと時間が経ちました。
やっと読んだ一冊がこの本でした。
木のこと、みどりのこと、自然のことを細かな断片で見てはならない、様々な繋がりの中で見ること。
著者の鬼頭さんはリンクという言葉を使います。社会の、経済の、宗教の、文化のリンクの中で、リンクのネットワークの中で一本の木を見ること。
小さな新書ですが、一歩進めた気がします。 (ひ -050627)


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